第31章 夏油傑 してアゲル
「傑先輩…!今日はわたしにやらせてくださいっ」
お風呂も入り終わって傑先輩の部屋の前でモノ申す。
「とりあえず中で話そっか」
わたしは焦りすぎたようだ。
誰かに聞かれたらマズいのに困った笑みを浮かべた傑先輩に気付かされ、招かれるままベッドに腰を下ろす。
「私は構わないけど随分用意してきたね」
「傑先輩がやられたくないことって何かありますか…?」
「んー。そうだねぇ」
突然の申し出にも動じず受け入れてくれる包容力。
どんな状況でも取り乱さない傑先輩を乱れさせてみたくて思い付きのまま行動している。
「なまえがされてもいいことなら何をしてもいいよ」
それはつまりお返しされることを前提に行動しろと?
「本当に何をしてもいいんですか…?」
「尻にものを突っ込まれたり薬を飲まされたり…
あ、さすがになかったか」
我が身ひとつでは敵わないと思い道具を揃えた。
傑先輩は袋の中を確認すると不敵な笑みを向けてくる。
「本当だよ。なまえがされてもいいことなら何をしてもいい。
私はなまえのすべてを受け入れたいからね」
なんだか急に怖くなってくる…。
自分から仕掛けたはずなのに術中にハマっている気がするのはなぜだろう。