第75章 幸甚
美「なるほど…。
だから鮫谷警部は、10ヶ月の未宝岳で起きた雪崩事故を調べてたんですね。」
風「そう、公安の指示で。」
風見さんがそう答えると
諸伏警部は、林へと目を向けた。
諸「同じ隠れ公安であるあなたは
調べられていることに気付いたんですね?」
下を向いていた林は、観念したように
ぼつりぽつり…と、話し出した。
どうやら林は、鮫谷警部が御厨と面会したことを知り、自分が同じ隠れ公安であることを告げると
鮫谷警部から色々と話を聞いたようだった。
大和警部とも会おうとしていたことを知り
彼が雪崩事故の記憶を失っていると伝えらしい。
美「だから大和警部には会わず、東京へ帰った…」
毛「だがお前はワニを撃った!
この件を調べるワニの口を塞ぐ為に…!!」
『随分とまぁ、非道なことをしましたね。』
自分の悪事を暴かれるのを恐れた為に
鮫谷警部は殺された…
そんな林に対して、私は嫌悪感を隠せなかった。
大「俺達と一緒に御厨が収監されている刑務所に行ったのも、事件に関わる俺達を監視していたのか。」
林「行っといてよかったよ。
アンタが何かを思い出しそうにしているのが分かったからな。」
林の思惑を知り、怒りで体が震えていると
私と同じように怒っている毛利さんは
わなわなと唇を震わせていた。
毛「だから、大和警部を銃撃し
それに失敗したから雪崩を起こして殺そうとしたのか!」
…本当に信じられない。
大和警部だけじゃなく
諸伏警部や、無関係である光彦くんと元太くんまで
殺害しようとしていたんだから。
上「なんでそこまでする必要が…?」
林の行動が理解できない上原さんの問いに
彼は俯いて、手をギリギリと強く握りしめながら俯いているだけ。
そもそもなぜ、日本の情報収集衛星のデータを盗み
政府を脅したのかーー…
全員が同じ疑問を抱いているようだが
林の動機は恐らく…
『あなたは…自殺した真希さんの…』
コ「恋人だったから…だよね。」
「「「え!?」」」
『!?!?』
…私と同じ答えを発したコナンくんに驚いていると
彼は慌てながらスマホを取り出した。