依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第15章 臨機応変に柔軟に01
空港通りからオフィス街に抜け、自社ビルの目の前のロードパーキングの一角に車を停め、すぐ戻るから、と声をかけると、素直にコクリと頷く🌸が可愛い。
仕事関係の資料や荷物を入れた鞄だけ引っ掴み、あまり使うことない正面から入る。
お疲れ様です、と時折声をかけられたが、おざなりに返して上階へ上がったエレベータの扉が開いた隙間を縫い出て、早足に執務室へ向かう。
人のいないオフィスにある自分専用の執務席の椅子に外出用の鞄を置き、重要書類やUSBなどを金庫に放り込んで車に戻ると、助手席の窓から、ぽーっとビルの上の方を眺めている🌸が遠目に見えてふ、と笑う。
キョトンと見上げている目は少しの好奇心を孕んでいて、ポカンと開いた口は艶めいていて色っぽい。
再び車を走らせ、少し街中に向かいながら、夕食の相談をする。
「シャンクスさん、食べられないものは?」
あー、と考えながらハンドルを操作する。
「ブルーベリー?」
「それ、夕飯のメニューですかね!?」
いいツッコミだな、と笑ってゆっくりとブレーキを踏む。
「🌸は、和食のほうがいいか?」
「あ、うん、和食好きですよ」
話したっけ?と不思議そうに首を傾げる🌸に、未来の花嫁からの機密情報だったな、と思い出して、笑ってごまかす。
「酒は?嫌いじゃないだろう」
「車なのに、いいんですか?」
首を傾げる🌸をちら、と見やる。
「送り狼にはならないでやる」
自信はないけど、と心中でつぶやき、車の速度を上げる。
キョトンとした🌸は、そうですか、と言って、小さく笑った。
「危険を察したら、タクシー捕まえます」
「ああ、是非そうしてくれ」
「シャンクスさんは、優しいんですね」
ふふ、と笑った🌸にその真意が届いたかは不明だが、外を眺めている横顔に不安がある様子はなかった。