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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第56章 Hope


広いバスタブにお湯を溜めながらシャワーで温もっていると、🌸、とノックもなく開かれる扉。

「なぁに?」
「ウタとルフィはハウスから出て遊びたいらしいが、🌸はマキノさんと話したいだろう」
携帯片手の彼に、曖昧に答える。
「あー、んー...マキノちゃんと相談する。ウタちゃんと約束してるし」
分かった、と浴室の扉を閉めたシャンクスが、再び顔を出す。
「俺も入るから、あがるなよ」
はぁい、と返事をしてようやく溜まった湯に浸かった。

 ✜

アメニティのヘアオイルを手にすると、真後ろにいたシャンクスの手が取り上げる。
「メーカー、変えさせるか」
🌸が愛用するはちみつの香りのシリーズではないオイルの香りを確かめ、仕方ない、と呟いて手に取ったオイルを🌸の髪に馴染ませる。
「本当に好きね、あのはちみつの香り」
「トラベルボトルで用意すればよかった」
部屋にあったのに、と今更残念がるシャンクス。

「次、お泊りで出掛ける時は用意しないとね」
「そうだな」
よし、と最後に櫛を通して整えると、生乾きの赤髪に風を向ける。
「適当が過ぎる!」「乾きゃいいんだ」
ドライヤーを取り上げられ、少し頭を下げるシャンクスに、風邪引くから、と根本から温風を当てる。

ふわふわと舞い上がり始めた髪。
根本へと風が届くよう頭骨を撫でるように手で髪を振り上げる。櫛を通しながら仕上げると、艶を出す赤。
「ん、いい色。」
少し背伸びをして、屈んでいる頬にキスをすると肩に回った手で抱き寄せられる。
目を閉じ、微かな吐息を唇で感じる。
触れた、思った瞬間に部屋に響き渡るベル。
コツ、と肩口に当たる額。

「さっきからなんなんだ...呪いか?」
キスできそうでできない状況を繰り返す事に怒りが込み上げてくるシャンクス。

「奥で待ってろ」

🌸の髪を撫でると、タオルを剝いで備え付けのローブを羽織る。
バスルームを出ていく背中にくすくすと笑うと、鏡に向き直る。
鎖骨の付け根から胸の膨らみの間辺りに一つ増えた痣。
子どもたちやマキノに見せるわけにいかないので、他に跡がないか、鏡を覗き込んで確かめた。
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