依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第55章 思わぬ再会
風呂上がりのウタは、マキノに髪を乾かされながら船を漕いでいる。
先に上がったルフィも、もう眠い、と大あくびする。
「シャンクス、明日も、いるか?」
目を擦りながら、椅子に腰掛ける脚を掴む。
「明日は、近くを🌸に案内してやるつもりだ」
「ん、おれも、いく」「じゃあ、もう寝ろ」
寝坊したら置いていくからな、と脅しかけて、おやすみぃと部屋に向かう背中に手を振る。
「ほら、ウタちゃんもお部屋に行って」
乾いた髪を櫛を通したマキノに背を押され、ウタも欠伸をこぼす。
「ん、シャンクス、寝るまで、居て?」
手を引くウタにわかった、と立ち上がる。
「🌸、お願いね?ちゃんと起こしてね?」
🌸に懇願するウタにシャンクスが苦笑いする。
「わかった。二人の学校、見せてね」
「うん。おやすみなさい」
おやすみ、と2人の声が揃い、ウタもお気に入りのぬいぐるみとシャンクスを手に寝室へ向かう。
「ふふ。あのぬいぐるみ、社長さんがウタちゃんにあげたものなんです」
マキノの言葉にそうなの?と向かい合って座る。
「ここに来て、初めての誕生日に持ってこられたの。『女の子』に贈り物なんてしたことないって、車いっぱいに買い込んできた中の1つ」
「なるほど」
父にもらった初めてのプレゼントを、ずっと大事にしているウタ。
血の繋がりがなくても、離れて暮らしていても、二人には確かな繋がりがそこにある。
「案外、いいパパなのね」
「ふふ。社長さんが結婚するってなったら、ウタちゃんは嫉妬しちゃうんじゃないかなぁと思ってたけど、🌸ちゃんなら、心配なさそう」
嬉しそうに笑うマキノ。
「わぁ、でも結婚かぁ...そっかぁ、そんな歳だよねぇ」
マキノちゃんは?と言いかけ、伏せられた瞳に口を噤んだ。
早いねぇ、と紅茶を飲む。
「あっ!もしよかったら、連絡先、聞いてもいい?」
「もちろん!」
携帯取ってくる、と駆け出すマキノ。
一人、残された部屋の壁に飾られた写真を眺める。
ウタやルフィ、マキノに加え、REDForceの顔ぶれ。
その中。
一枚、マキノの隣に、黒髪にそばかすが印象的な制服の男の子。
「エース、」
写真の下に書かれた『エース 入学式』のテープを、そっと撫でた。