第4章 春の嵐
「はっはーーー!いいだろう!!この船旅が成功した暁には、船長報酬として貴様を嫁に貰うぞ!!!」
高らかに宣言し、バッシィイイン!と指鳴らしする龍水。蒼音がウンウンと頷き、そうなれば仕事だ!!と走り去る龍水にヒラヒラと手を振った。
…………………………。
静まり返る場で観衆のひとり、ゲンが手を挙げた。
「あのさ、蒼音ちゃん?一応聞くけど。龍水ちゃんの写真のくだりってもしかしてさー」
「真っ赤なウソだよ★」てへぺろ(´>ω∂`)☆という顔の蒼音。
「ジーマーでドイヒーーー!!!」
「悪女だ……」と全員でハモる。
「だよね~。蒼音ちゃん即座によくあんな芝居出来るね、ホントゴイスー……」
トホホ~とゲンが半泣きである。
「君達。まあ見た通り彼は私に惚れ抜いているのでな。——龍水君の操舵は私が担当する。皆は大船に乗ったつもりで私に任せたまえ」
ニッコリ笑う蒼音。無駄に説得力がある、無駄に力強い言葉。これには科学王国全員の意見が一致した。龍水を意のまま操れるのは蒼音だけだろう、と。
「まああの船長の事は軍師、テメーに任せるわ。テメーがいちばんプロだからなー」
欲に真っ直ぐ過ぎる龍水と、無欲な蒼音。 欲望に真っ直ぐで、正直故に気持ちを伝え過ぎてセリフの重みが軽くなってしまい、逆効果な龍水。
自分の欲をほぼ持たない故に気持ちを思うがまま素直に受け取る事も出来ない、天邪鬼な蒼音。あ゙ー……本当に面倒くせえ二人だな、と思いつつ千空が笑った。