第24章 第二十三話 記憶<メモリア>
うん、そだねと、アレンが微笑んだ。
そんなアレンを見て、リナリーが大きく顔を歪ませる。
「どうして…?行ったら、私たち戦わなくちゃならなくなるんだよ!」
「そだね。大丈夫、思いっきり蹴飛ばしていいよ」
「ふざけないで!!私は…!!私は、絶対にアレンくんとは…っ!!」
ふわりとアレンがリナリーを抱きしめた。
「何があっても、僕はエクソシストだ。進む道は違っても、それは変わらないから」
「アレン、くん…」
リナリーの瞳から涙が溢れる。
「リナリーや、みんなのいる教団が大好きだよ」
―――――僕のホーム。
これからも、ずっと…。
「ア…レンくん…っ」
リナリーから腕が離れていく。
伸ばしたリナリーの手は、アレンには届かなかった。
「アレンくん……!!!!」
方舟の中へと消えたアレンを見ながら、リナリーはその場に泣き崩れた。
「ごめんね、迷惑かけちゃって…」
数分後、落ち着いてきたであろうリナリーが服についた土を払いながら立ち上がる。
大丈夫だよと返事を返したユキサを見ながら、そういえばどうしてここに?とリナリーが聞いた。
確かユキサは軟禁されていたんじゃ…。
緊急事態とは言え、簡単に出させてもらえるわけはない。
「ティムキャンピーの姿が見えたから出てきちゃった」
「えぇ!?それ、大丈夫なの…?」
緊急事態だったし、なんとかなるでしょうとユキサは平然と答える。
戻ろうと言って飛んだユキサの後を追って、リナリーも強く頷いて地を蹴った。