第23章 第二十二話 アルマ・カルマ
口をあんぐりと開けて固まるアレンの目の前にユキサが手をヒラヒラさせるが反応なし。
小さく息をついたユキサがじぃ…と小さい頃の神田を見る。
「………かわい…ハッ!!」
ブンブンと首を振って、今はそんな事を考えてる暇はないと邪な考えは頭の奥へとしまい込む。
この記憶が神田のものならば、言霊を使っても抜け出せる可能性は低い。
大切なこの記憶を消すこと自体も憚られるが、まず神田に記憶操作の言霊は効かなかった。
ノアの企みが何なのかは分からないが、今は何も出来ないとユキサは思った。
「コラ!やめなさい2人とも!!」
部屋の端で事の成り行きを見守っていたアレンとユキサ。
しかしアルマがこちらへ飛んできたため、アレンがユキサを抱えてそれを避けた。
おいおい…とアレンがどんよりした表情で壁に叩きつけられたアルマを見る。
落ち着け!ブレイクブレイク!と職員たちがユウを止める。
「神田とアルマって…仲が悪かったのか…?」
「………」
だいたいの事情は知っているユキサは何も言わなかった。
そんなユキサを心配そうに見るアレン。
今本気で投げたでしょ!と怒るアルマに、ユウは鬼の形相を向けた。
そうして思いっきりあかんべーと舌を出す。
そんなユウの態度にアルマが我慢ならないといったようにユウへ殴りかかった。
「あーもう!また喧嘩か!!」
体の損傷は?という女性の問いに、エドガーがもう2人とも完治してるから大丈夫と答えた。
アジア支部長である女性の名は、トゥイ・チャン。
ユキサがそう言うとアレンがチャン…?とバクを思い出した。
「そう。トゥイ・チャンとエドガー・チャン・マルティン。バクさんの両親だよ」
「!両親…」
複雑な表情をするアレン。
バクの両親が、第二エクソシスト計画に…?
「この所おかしいぞアルマ。感情のコントロールがまったくできていない」
お前たちは人類を救済する為に存在する使徒だ。
感情で行動せずもっと使徒としてふさわしい振舞いをしなさい。
科学評議会議長のサーリンズ・エプスタインがそう言った。
その後ろで控えているのが娘のレニー・エプスタイン。
現在の北米支部長だ。