第22章 第二十一話 第三使徒計画
このままでは死んでしまうと彩音も言ったが、マダラオがほっといていいと言った。
「傷口が塞がってる…!?」
「驚いた…神田やユキサと同じ能力を持ってるんですね…」
そうでしたね、あの男はアルマ=カルマの…とトクサが乾いた笑いを零した。
アルマ?と聞いた事のない名前に3人は首を傾げた。
「所詮、傷が塞がる程度なんですよ。ユキサとかいう女の方は知りませんが、私たちもセカンドほどの性能があればよかったのに…」
「セカンド…?」
まるで話が分からない。
神田やユキサが治癒能力が高いのは知っている。
しかしトクサの様子からして、神田には何か事情があるような言い方だった。
「マダラオ、頼みます」
不意にトクサがそう言い、マダラオがトクサへと近づいた。
必ず生き残り、母体化すると誓って下さい!
その言葉にあぁと返事を返してマダラオがその異形な腕をトクサへ押し付ける。
咄嗟にアレンがトクサを庇った。
「何をしてる!?仲間を…!」
「そうだ。吸収する」
「そんな…!」
邪魔をしないでくれませんか使徒さまというトクサの言葉に、彩音がどうして!?と叫ぶ。
半AKUMA化しているサードは、正直彩音は怖いと思った。
だけどそれでも、仲間なのだ。
共にAKUMAと戦う仲間なのに…。
発動できないトクサに生き続ける意味はない。
だから吸収して体内のアルマ細胞を私が引き継ぐ。
「アルマ細胞?」
「アルマ=カルマ。AKUMAの卵核と融合し、私たちにその細胞を分け与えた最初の母体」
―――そしてアルマ細胞を取り込んだ私たちには『母体化』という第一級使命が課せられている。
不二の問いに答えたマダラオが続けた。
アルマ細胞はAKUMAを吸収することで増幅する。
母体化した私たちは神へ捧げられ、その細胞で新たなサードを生む。
そうして対AKUMA戦力は拡大し世界救済の礎となる。
「それが、第三エクソシスト計画だ」
内容を聞いて彩音が恐怖に青ざめる。