第19章 第十八話 本部襲撃
「も~…2人ともやりすぎ…」
「あはははっ!!」
彩音が2人のボロボロ具合を見ながら言うと、ラビも笑い出す。
アレンを見て少し驚きながらも、ジョニーがアレンの頭を撫でた。
とその時、背後からブリザードが吹き荒れる。
「そこのワーカホリックとエクソシスト8名…だぁぁぁれが病室から出ていいと言ったのかしら?」
般若のような表情をした婦長の言葉に、その場にいた全員が凍りついた。
「リナリーのイノセンスが?」
「うん、リナリーは寄生型ではないことがわかった。でもその前に」
ちょっとそこ耳隠してくれるかな?真面目な話だから。
面白すぎて話が進まないとコムイが言った。
(チャオジーと、女性ということでユキサと彩音は免れたが)エクソシスト6人の耳が大きく腫れている。
もちろん、婦長による制裁が下されたからであった。
僕ら真面目に聞いてますと言ったアレンの横で、神田がイライラと体を震わせていた。
寄生型は人体とイノセンスが細胞レベルで結合している。
なので中身は、人体とは別物の細胞組織で出来ている。
「でもリナリーの足は検査したところ、そういった変化は見られませんでした。体内にイノセンスの反応もありません」
ただ…とリナリーの足についた輪をリーバーが指を差した。
これは元はリナリーの血液だったもので、今では全く別の金属組織に変わっているとのこと。
ヘブラスカもイノセンスの反応はそこからすると言っていた。
「これは装備型の進化型だ。適合者の血液と引き換えにそこからイノセンス自体が武器を生成するタイプ」
元来、装備型はイノセンスの制御が難しく、科学班による『武器化』で力を抑えなければならなかった。
しかしこのタイプは血が両者の媒介になってより強い力を制御できるものになったと思われる。
おそらく武器が損傷した場合も、適合者の血液さえあれば修復も可能だ。
聞いていた全員が、血ねぇ…とどんよりと表情を曇らせた。
「一応ボクらで、これは『結晶型』と名付けたよ」
「その結晶型は、リナリーにしかならないんですか?」
「いや、おそらく他の装備型適合者にも起こる可能性は高いだろう。…ユキサちゃん」
不二の問いに答えながら、コムイがユキサを呼んだ。