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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第18章 第十七話 帰郷


どういう事?と首を傾げたユキサに、不二は言う。
自分の体質の事も、方舟のあの音楽についても。
ユキサは迷いなくこくりと頷いた。

ならばクロスの言う通り、これ以上知ろうとしなくていいだろう。
神田、不二、彩音が顔を見合わせている事にユキサは何事だろうと首を傾げた。

「こっちの話だよ」
「私も含めて、私たちには色々あるけれど…」

彩音のその言葉には、神田も含まれているようだった。

「それでも私たちは私たちだから」

そうだねと不二が頷いた。
自分たちが何者であっても、ここにいる限り自分のやるべき事をやるだけ。


「でもユキサは無理しちゃいけないからね!神田も」
「あ?」
「ユキサと神田は治癒能力が高いからと言って無茶をするからねぇ」

彩音と不二に言われ、チッと顔を逸した神田と曖昧に笑うユキサだった。



それから数日…。
方舟の事やAKUMA生成工場等で本部は慌ただしい毎日を送っている。
特に科学班は連日寝ていないのもあって疲労困憊状態だった。
反対に入院していたエクソシストたちはクロウリーを除いて回復しつつある。

ある日の夜、食堂にてユキサたちが夕食を取っていた。
今まで一匹狼だった神田がそこに混じっているのは、教団内ではもう見慣れた光景だ。

「ねぇ、アレンに監視がついたって聞いた?」
「うん。方舟を動かした事で、上層部から色々と言われてるみたいだね」

周囲も嫌な雰囲気が流れてるよね、と不二は言った。
伯爵が操作していた方舟をアレンが操作できたのは、正直とても怪しく見えてしまう。
信じられなくなってしまった団員たちが至るところでひそひそと噂をしているのだ。

「…くだらねェな。モヤシはモヤシだろ」
「そうだよね…。今まで教団のために頑張ってきたアレンに、ひどい仕打ちだよね」

気持ちは分からなくはない。
何故操作できるのか詳しい事も分からないままでは不満も溜まることだろう。
だからと言って今までのアレンの行動をなかった事にするのはおかしな話だ。

ね、と彩音がユキサに同意を求めると、ユキサは今気づいたかのようにあ、うん…と返事を返した。
そのままごちそうさまと席を立つ。
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