第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム
瞬間、強い怒りの感情が流れ込む。
「っ…あ…!!!」
「!?」
頭を抱えてふらつくユキサに向けて、雷撃が放たれる。
間一髪、駆け付けた神田がユキサを抱えて雷撃を避けた。
スキンとの距離を取って、岩陰に隠れる。
「どうした?」
「へ、平気…ちょっとあのノアの記憶が…」
言霊を使ったのかという神田の問いに、ユキサは首を振った。
使っていない、使う前だったのに何故スキンの記憶が流れ込んできたのだろう。
それほどスキンの怒りの記憶が強いのだろうか。
「あまり奴と接触するな」
勝手に記憶を読み取ってしまうであろうユキサと、手に走る雷を見ながら神田が言う。
足手まといにならないよう気をつけると、ユキサも小さく頷いた。
雷撃が岩を砕く。
バッと神田とユキサが左右に飛んだ。
神田がスキンへ向かう。
砕けた岩の破片を上手く伝いながら、雷撃を避けつつ飛び込んだ。
スキンが口からも雷撃を放つが、神田はスッと消えた。
「こっちだ」
八花螳蜋!と背後からスキンに撃つ。
直撃したスキンが吹き飛ばされ、少し血を吐きながら倒れた。
バチッと手に走る雷に、神田が顔を顰める。
ゆっくりと、スキンが立ち上がった。
「ふい~…速いな。己より速い…」
直撃だったんだがな、とぽつりと神田が呟く。
スキンに全く効果がないわけではない。
だが威力が足りない、体が頑丈過ぎる。
ユキサの強化をもってしても、だ。
ゴゴゴゴ…!と地震が起こる。
ここも長くは持たない、と神田とユキサは思った。
「二幻…昇華!!俺の命を吸い高まれ!!!」
「神田!?」
「『禁忌 三幻式』!!!」