第2章 第一話 黒の教団
3人とファインダーの1人が小舟に乗り込み、ファインダーがゆっくりと船を漕ぎ出した。
同時に、コムイが声をかけてくる。
「君たちの過去を見せてもらったよ。ティムキャンピーには、映像記録能力があるんだ。そしてその銀色の子にも映像記録能力があった。…いってらっしゃい!」
行ってきます!と手を振るアレンとユキサ。
前に向き直し、ユキサはティムキャンピーを見た。
アレンの方も気になっていたようで、スノーベルを見ている。
お互い手のひらに乗せて近づけると、銀色と金色のゴーレムは瓜二つだった。
違うのは色と、真ん中の模様がティムキャンピーが十字架、スノウがハートだという所だ。
「そっくりですねぇ…この子も師匠の作ったゴーレムなんでしょうか…」
首を傾げるユキサに、この子の名前はなんですか?とアレンは問う。
スノーベル、と言おうとして、口の動きだけじゃ伝わりにくいと判断したユキサは、神田に近寄った。
くい、と団服の裾を引っ張ると、なんだと振り返る神田。
ス、とスノーベルを差し出して、なまえ、と口を動かすと、神田はアレンに視線を向けること無く口を開いた。
「…スノーベル。そいつの名前だ。こいつはスノウって呼んでいる」
「そうですか、スノーベル…」
色に似合う綺麗な響きの名前ですね、とアレンが微笑むと、ユキサも嬉しそうに頷いた。
と同時に、何故神田が知っているのだろうかと疑問に思ったアレンだった。
ーーーーーカン!カン!カン!
「ちょ、ちょっとまって…!」
「そんな時間はない」
「汽車が来ます!」
船から降りた後、4人は屋根の上を走り渡っていた。
アレンは資料を覗き見しながら起用に走っている。
ユキサはまだ本調子ではないため、3人に追いつくために足に小さな羽を出し、飛んでいた。
そのイノセンスもまだ少し不安定ではあるが。
橋を超えた所で、これに乗るんですか!?とアレンが叫ぶと同時に、ゴンッと汽車の上に落ちた。
ユキサもタイミングよく羽をしまって降りたが、吹き付ける風でバランスを崩す。
近くに居た神田に、ガシッと腕を掴まれて引き寄せられ、掴んどけと服の裾を握らされた。
ありがとう、と口を動かすと同時に、アレンが乾いた笑いをしながら呟く。