第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム
「ったくもう!!!なんて事を!!!人でなしっす!!!」
「「神田(ユウ)の馬鹿ーーー!!!」」
怒るアレンたちにリナリーが何か言おうとしたが、アレンたちの怒りは収まらない。
置いてってやるさ!と言うラビの言葉に、神田は顔を逸して大きなため息をつく。
それを見て更にアレンたちが怒鳴った。
「何ため息付いてるんですか!」
「オレらがつきたいってーの!!」
プンプンと怒りながら去っていくのを見ながら、リナリーが神田へ振り返った。
あ、とリナリーがユキサと目が合う。
「ユキサ…」
「お前も早く行け」
神田がユキサに言うが、聞きませーんと耳を塞ぐ仕草をするユキサ。
ぎろりと神田に睨まれる。
「私にも界蟲一幻を打つ?」
全部弾き返すけど、とにっこりと笑った。
神田はもう一度大きくため息をつく。
ユキサは一度決めた事は絶対に曲げない。
いくら言った所で絶対にここに残ろうとするだろう。
「というわけだからリナリー、私がここに神田と残るよ。…ごめんね、リナリーのイノセンス預かったままになっちゃうけど…」
リナリーの体が不安定になるため、返す事はしない。
それは、この場で消えるつもりは毛頭ないという決意でもあった。
必ず追いつくからね。
その言葉にリナリーがうっすら涙を浮かべた。
足音が聞こえて視線を向ければ、そこには彩音と不二の姿。
「やっぱり残るんだね、ユキサ」
「うん。彩音、不二、みんなをお願い」
「分かった…。…必ず、2人で無事に戻ってきてね」
行こう、と彩音がリナリーの手を引く。
バッとリナリーが振り返った。
「神田!ユキサ!!ちゃんとあとでついてきてね!!」
――――絶対だよ!!
神田は何も言わなかったが、ユキサがうんと力強くリナリーに返事を返した。