第15章 第十四話 江戸
「この方舟に出口はもうねェんだけど…ロードの能力なら作れちゃうんだな、出口」
キィン!と地面から扉が出現する。
レロがロードの扉だと叫んだ。
ロードはノアで唯一、方舟を使わず空間移動ができる能力者だ。
「ど?あの汽車の続き。こっちは『出口』お前らは『命』を賭けて勝負しね?」
今度はイカサマ無しだ、少年とニヤリとティキが笑う。
レロは納得の行かない様子だったが、アレンたちにとっては本当に出られるのなら、その賭けにのるほかはないのだが。
「ロードの扉とそれに通じる3つの扉の鍵だ、これをやるよ。考えて…」
つっても四の五の言ってる場合じゃねェと思うけど。
ティキがそう言った瞬間、ティキに向かって建物が崩れてくる。
アレンたちは身を引いて避けたが、ティキはその場から動かなかった。
キラリと輝いた鍵が、ユキサに向かって飛ばされる。
「扉は一番高い所に置いておく。崩れる前に辿り着けたらお前らの勝ちだ」
あ、ユキサちゃんは羽使うの無しね、とティキが付け足す。
鍵を受け取ったユキサが、静かにその場に降りた。
「ノアは不死だと聞いてますよ。どこがイカサマ無しですか」
アレンの言葉にティキが大きく笑った。
いつ誰がそんな事を言ってそうなったのか知らないが、オレらは人間だよとティキが言う。
「死なねェようにみえんのは…お前らが弱いからだよ!!」
ドンッ…!と再び崩壊が始まる。
「やばい…走れ!崩壊の少ない所へ!」
神田の言葉に全員が走り出した。
全員が息を整える。
ラビがどうする?と声をかけると、ユキサが手の中にある鍵を見つめた。
「ロードの能力っていう空間移動は僕らにも身に覚えがあります」
うん、とリナリーも同意した。
ずっとここにいたところで、崩壊を待つことしか出来ない。