第2章 第一話 黒の教団
「対AKUMA武器ですよ。僕はエクソシストです」
少年の言葉に、神田はギロリと門番を睨みつける。
で、でもよぉ!確かにペンタクルがぁ~!と泣きながら訴える門番、少し呪われてますけど人間ですよ!!と反論する少年。
初めて見た【門番】に少し驚きながらも、ユキサが言葉を続けた。
「神田さん、この光…イノセンスに間違いないと思う」
「…お前はなんでそいつを庇ってんだ」
はあ、とため息をつく神田。
だがすぐに、スラリと六幻を構えた。
「まぁいい、こいつがAKUMAかどうかは…中身を開けば分かることだな」
「ま、ままま、待って!!僕は本当に敵じゃないんです!クロス師匠から紹介状も届いてるはずで…!」
それにこの子もいるのに…!!!
ユキサを片手に抱き止めながら必死に止めようとする少年の言葉に、神田はハッとして動きを止めた。
神田の刀は、少年に到達する前で止まっているが、少年の目の前には透明なシールドも張られている。
「え…?これは、君が…?」
「元帥の…紹介状だと?」
腕の中にいるユキサを見ていた少年だが、神田の言葉にコムイって人宛に…と答えた。
その瞬間、神田の傍にいた通信ゴーレムから何やらドタバタ騒がしい音が聞こえる。
やがて、ありましたぁー!と声が聞こえた後、紹介状の内容が読み上げられた。
攻撃をやめろ神田あああ!と叫び声が聞こえたが、神田は一向に刀を戻さない。
ユキサもシールドを消さないまま膠着していると、かいも~~ん!と門番の声が聞こえ、入り口が大きな音を立てて開き始めた。
『入場を許可しま~す、アレン・ウォーカー君!』
続けてコムイの声が通信で流れてきて、事情を説明される。
それでもなお、神田が少年・アレンを黙って見つめていると、横からリナリーがやってきた。
コツン、と持っていたバインダーで神田の頭を小突く。
「もぉ~、やめなさいって言ってるでしょー!」
リナリーにも言われ、何か反論したそうな雰囲気のまま、神田はやっと六幻を収めた。
それを見てユキサもシールドを消す。
リナリーがその様子を不思議そうに見ながらも、3人に教団へ入るよう促した。