第11章 第十話 奇妙な館
「師匠はこの結果になる事がわかっていて、建物を壊したんだろうか」
マリの問いに神田は俺には関係ないとそっぽを向いた。
最初から最後までイライラしてたもんなぁ…とユキサがくすりと笑う。
「それにしても、疲れたけど楽しかったなぁ、あのお屋敷」
「そうだね」
彩音と不二が楽しそうに話している。
一行がその場を離れようとしていたその時だ。
「ッ!?!?」
バッと神田が屋敷跡へ振り返った。
そこには誰もいない、だがそちらを睨む神田。
「神田…どうかした?」
彩音の問いに、なんでもないと視線を戻そうとして、神田がぴたりと動きを止める。
隣を歩いていたユキサも、神田と同じ方を見ていた。
酷く感情のない瞳で。
ぞくりと背筋が凍る。
「…おい」
思わず腕を掴めば、ユキサが何?と神田を見る。
瞳は、いつものユキサのものだった。
「ところで」
アルフォンスと別れ、旅を再開した一行。
思い出したかのように、ティエドールがユキサへ視線を向けた。
「AKUMAがキミを狙っているみたいだが、…何か心当たりはあるのかな?」
聞かれると思っていたユキサは、少しだけ困ったような表情をしながら答える。
「確証はありません。ただ、バルセロナでノアと戦った時、私の持つイノセンスが3つとも光り輝いた時がありました」
その言葉に事情を知っている神田がすぐ反応を示す。
どういうことかとティエドールが続きを促した。
「神田とデンマークでの任務に行った時にもありました。突然胸が苦しくなって、3つのイノセンスが光り出すんです。少し経てば収まるんですが…」
「胸が苦しく…?」