第10章 第九話 沈黙の棺
「大丈夫ですか!?早く避難を…」
先に向かったユキサはファインダーたちを盾で守り、安全な場所を見つけて避難誘導をしていた。
「(本当は癒しの術をかけたいけど…多分余裕がない)」
振り返った先にいるのは大量のAKUMA。
ファインダーたちを治療してしまえば、戦う時の力が減ってしまう。
一通り避難を済ませた後、ユキサもその場を去った。
空高くに飛び、すぅと息を吸う。
「彼の者たちに力を与えん、『レインフォース』!!彼の者たちに再生の光を、『リジェネレイト』!!!」
「なんだぁ?」
「これは…!」
響いてきた声に、5人の体が光に包まれた。
「あいつ…!」
この人数に強化をかけて大丈夫なのかと神田が眉を顰める。
「ふぅ、全員にかかったかな」
強化をかけるには、かけたい相手に声を聞かせなければならない。
何処にいるか分からないのなら、叫ぶしか方法がなかったのだ。
そのおかげで寄ってきたAKUMAたちは、どこからか飛んできた隣人ノ鐘によって破壊される。
「デイシャ!」
「これで、さっきの借りは返したジャン!」
にやりと笑うデイシャに、ユキサが近寄る。
「ユキサ、さっきのはなんだ?」
「あれは…強化と再生魔法。私の力が続く限りは、皆の力は強化されるし、多少の傷なら回復できる」
説明をするとデイシャが口笛を吹いた。
「なら、今のオレたちは最強って事ジャン!?」
「だからと言って無茶はしないでね!」
ユキサも羽をしまい、大鎌を発動した。