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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第9章 第八話 魔女の棲む村


武器を手に、3人がその場を飛んだ。
1人、ユキサだけがそこへ残る。

「ソフィアさん」
「なにかしら」

顔を俯かせたまま、ユキサが言った。

「あなたのお父さんは…息絶える瞬間、言ってました。『すまない、許してくれ』と」
「そう」
「他の村人も言ってました。『すまない、許してくれ』…。誰に、言ってたんだと思いますか」
「さあ。そんな事、興味ないわ!」

体をAKUMAに変え、ソフィアが飛ぶ。
ユキサも羽と大鎌のイノセンスを発動させ、飛び立った。

空中で力と力が激突する。
レベル2のAKUMAの姿をしているソフィア。
随分な数を殺したんだなとユキサは大鎌を思い切り振り下ろした。

「くっ…!!」

壁に叩きつけられたソフィアが呻く。

「終わりよ」

降り立ったユキサが、大鎌を振り下ろそうとした時だった。
フッと不気味に笑ったソフィアが、その額から暗い光を放つ。

ユキサのすぐ後ろで戦っていた神田にも、その光が降り注いだ。

ハッと目を開く。
神田がいたのは、自分の部屋だった。
飾られているその花が。

じわじわと黒く侵食され、静かに散っていくのを見た。


「ありえない…」


―――――そう、ありえないんだ。
神田の瞳が、鋭く光った。



「これで、終わりだ!」

ソフィアの腕が、立ち尽くすユキサへと振り下ろされる。
瞬間、神田がソフィアを斬った。
断末魔があたりに響き渡る。
戦闘を終えた不二と彩音が振り返った。

「なぜ…」
「お前は相手の記憶を読み、願望や執着しているものを夢として見せ、惑わせるんだな」

ならばなぜ、あれを見ても冷静でいられるのか。
その問いに、神田がはっきりと言う。

「お前が読めたのは、俺の望みのほんの表層にすぎない」

―――――お前は分かっていない。あの花が朽ちる意味を。

俺の真の望みを。

「俺の望みは、決して他人に叶えられるものではない」
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