第8章 第七話 終末への幕明け
「そうだ!イエーガー元帥が!!」
ガバッと起き上がり、そのまま地面へ崩れ落ちる。
体に上手く力が入らない感覚に、呆然とした。
「な、なんなの…。とりあえず神田を探さないと…」
流石に置いていかれてはいないだろう。
そう思い部屋を出た。
よろよろと壁伝いに2階から降りれば、電話の所でどうやら本部と連絡を取っているであろう神田を見つけた。
話し中のためにフロントの椅子へ座ろうとすれば、店主が気づいて声をかけてくる。
「お客さん!大丈夫なのかい?」
「あ、はい」
すみません、ご心配をかけて…。
本部との話を終えたタイミングで、ちょうど店主とユキサの会話が聞こえて神田は振り返る。
「イエーガー元帥は…?」
無言を貫く神田に、ユキサはあぁと納得した。
間に合わなかった…助けられなかったんだろうと。
(イエーガー元帥とは接点がない。…アレも、使えない、か…)
「具合は?」
「まだちょっと体に力入らないけど、戦闘にならなければ問題ないかと。次の任務?」
思索に耽っていると、神田の何やら急ぎのような雰囲気を感じ取り、ユキサが聞いた。
少しだけ眉を顰めた神田だったが、ゆっくりと頷いた。
「上からの指示だ。…このまま俺たちはティエドール元帥を探す」
「元帥の護衛だね?わかった」
「一泊して明日朝一でミッテルバルトへ向かい、小鳥遊と不二と合流だ。そのあと同じくティエドール元帥の足取りを追っているデイシャに会いに行く」
デイシャ?と聞けば、元帥の弟子だと返ってきた。
神田がティエドールの弟子という事は知っている。
「場所は分かってるの?」
「あぁ。小鳥遊たちがデイシャのメモをコムイから預かってる」
なるほど、と頷いて、ユキサが立ち上がった。
少しふらついている様子に、神田がじ、と見ている。
「大丈夫…。そろそろ休むね、明日動けないと困るし」
何も言わず神田も立ち上がり、ユキサを部屋まで送っていった。