第7章 第六話 千年の剣士
「周助、私は行くからね!」
ビットリオは女とは戦わない。
だが周りにAKUMAが出た時、人数がいた方がいいだろう。
彩音と不二、そしてペドロが家を出ていく。
ユキサは傷が治りきっていないため、神田と共に残る事となった。
「…………」
お互い、沈黙したままだった。
ビットリオとの戦いに、何か作戦を立てると言ってもそんな簡単に思いつくものではない。
普段、とにかく斬る事しか頭にない神田。
どうしたものかと思考を巡らせていると、ふぅとユキサが息を吐く。
「神田。ビットリオのイノセンスは、あの大剣にある」
「……」
返事はない。
構わずにユキサは続けた。
「持っている限り、再生能力は発動するはず。…なら、手放させればいい」
その手放させる事が難しいのだが。
ユキサは真っ直ぐ神田の瞳を見る。
「多少の無茶は私がなんとかサポートする。だから神田は神田の思うように動いて」
神田は考える事が苦手だ。
それを、ずっと傍で見てきたユキサは知っている。
だから神田の動きやすいように。
全部私が、支えるから。
しばしの沈黙の後、神田は立ち上がった。
彩音と不二が闘技場へ着いた時。
AKUMAたちがビットリオを取り囲んでいた。
すかさず助けに入る2人だが、ビットリオは難なくAKUMAを倒していく。
「はぁ~…やっぱり、強いね」
辺りの砂煙が止むと、ビットリオと向き合う不二。
そんな不二を心配そうに見ていた。
「ビットリオさん。目を覚まして下さい。サンドラ姫は、とっくの昔に亡くなっています」