第7章 寂しさ
「嬉しいの…?嫌じゃない?」
「嬉しいよ、全然嫌じゃない」
「だけどウザくない?私のせいでこんな喧嘩みたいになっちゃって…」
「全くウザくないし、むしろ嫉妬してくれるヒナが可愛い」
そう言って私を優しく抱きしめている悟は、右手で髪を何度も撫でた。
「そもそも僕も嫉妬してるし。しかもヒナなんかよりもよっぽど重症なやつ」
「重症なやつ?」
「正直、恵や悠二と楽しそうに話してるの見てるだけで嫉妬してるから。自分で言うのもなんだけど、僕本当ヤバイでしょ」
「二人は生徒だよ?それに一回りも年下」
「分かってるよ、ちなみにヒナがアイツらを何とも思ってないのも分かってる。それでも嫉妬しちゃうんだよ。僕はそんくらい面倒臭い男なの。だからヒナの嫉妬がウザいわけないし、僕に比べたら可愛いもんなんだよ」
私を慰めるためにそう言ってくれているのか、それともそれは悟の本心なのか…本当のところは分からないけれど。それでも今日の出来事を、嫌だと言うどころか嬉しいと言ってくれた悟に、私は限りなく救われたんだと思う。