第19章 大切な記憶
言葉が出なかった。
だって悟は今、私を好きではないと言うことだから。
幼馴染としての記憶はあるが、悟が今まで私を好きだと思い行動して来た事は全て記憶からすっぽりと抜けているのだ。
「大丈夫か」
「…あ、うん」
「大丈夫な訳ないか、余計な事を聞いた。とにかくこの件に関しては私達と夏油、それに夜蛾学長と少数の上にしか報告をしていない。失った記憶関係なく、五条が呪いを受けたままだなんて笑えないからな。それこそ呪詛師がこれを機に狙ってくるかもしれない。ヒナからしたら辛い状況だとは思うが、今はただ五条を見守るしかない」
「わかった…うん、そうだね」
その後硝子と少し話をして医務室を後にした。
さっきまで、今日の晩ご飯は一緒に食べようと笑い合っていたのに。結婚式だってもう2ヶ月後なのに…
唖然とした状態で医務室を出てただ真っ直ぐに歩く。こんなこと想像もしていなかった。悟が呪いにかかるのも…そして私を好きだという感情を忘れてしまうなんてことも。
誰がそんなことが起きるだなんて思うだろうか。