第10章 特級呪術師
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カツカツと靴底の音を響かせながら階段を下っていく。
薄暗い室内へと入れば、ソファーに座り真剣な表情で目の前のテレビをジッと見つめている男の子の姿。
「悠二君、お疲れ様」
その背中へと声をかければ、こちらへと振り返った悠二君はニッコリと笑い「あ!椿先生!」と振り返る。
両手に抱えているクマの呪骸は目を覚ますことなく、すやすやと気持ち良さそうに寝息を立てているままだ。うん、かなり呪力コントロールが上手くなってきたみたいだね。
「食べもの色々買ってきたよ」
「あざっス。あ!ポテチとコーラもある!もれに食材まで!」
「悟から悠二君は結構料理するって聞いてさ!大丈夫?足りそう?」
「うん!完璧!この前五条先生に肉焼きたいから買ってきてって言ったら、一切れ一万する和牛買ってきちゃってさ〜こんな肉どうすんの!って言いったら、どれか分からないから1番高いの買ってきたらしくやたら良いステーキ2人で食っちゃったよ」
ケラケラと楽しそうに笑う悠二君につられて私も一緒になって笑う。
悠二君は1ヶ月ほど前、上の悪意ある特級案件の任務中に宿儺に心臓を取られ死亡。そしてその数時間後に生き返ったのだ。私がその話を聞いたのは全ての事が終わった後で、その事実に眉間にシワを寄せながらも悠二君が無事で本当に良かったと心から安慮の溜息を吐き出した。