• テキストサイズ

ウチの悪魔は『待て』が出来ない

第2章 無邪気な天使は悪魔な肉食獣


「その、食事は、毎日?」


「え?」


キョトン、て。
驚いたようにこっちを見るから。
あれ。
なんか、変なこと言ったかなって。
一瞬焦る。

けど。


「そこまでがっつかないよ俺」


そう、なんだ。
って。
違う。
ガッカリしたなんて、全部小鳥遊くんには聞こえちゃうのに。


「毎日でも喰べたいけどね、本心は」


…………ぎくり。


ほら。
やっぱり。


「駄目なんだ」
「え?」
「俺ね、これでも悪魔。悪魔って、人間を餌にして生きる生き物なんだ、雪乃さん」
「…………う、ん?」
「毎日雪乃さん喰べたら、雪乃さん死んじゃう」


「…………」



え。
今。
さらっと…………。


「身体重いでしょ雪乃さん。身体、怠くない?」
「…………うん」
「それね、俺が『喰べた』から。雪乃さん、体力回復してないのにまた俺喰べちゃったから。ごめんなさい。」

「…………」


しゅん、て。
項垂れて。
今度は耳も尻尾も垂れ下がってる、幻覚が見える。



「…………このくらい、大丈夫だから。体力が回復すれば大丈夫なんだよね?」
「うん…………」
「なら大丈夫。問題ないから」

だから。


「死んじゃう前には、食べに来て」



うつ伏せに寝転がったまま。
捨て犬みたいにしゅんと落ち込んでる彼の頭に手を置いた。


「雪乃さん………」


そのウルウル、弱いなぁ。
可愛すぎる。
さっきの肉食獣、どこいった?
まるで仔犬みたい。


まぁ、うん。


人助け。


立派な大義名分がそこにある。
身体くらい。
いくらだって差し出すわよ。






/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp