第13章 10ページ目 重ねて名付けてミルフィーユ!
「通常の結界をね、幾つも幾つも重ねて張ってあるの!だから、上のひとつを破ってもまた次の結界があらわれる……名付けて、ミルフィーユ結界!!」
ばばーん!と効果音をつけたくなる勢いでわたしは残った結界ボールを頭上に掲げて見せた。
硝子ちゃんと夏油くんはといえば、うわぁ…とちょっと引いた感じで…え、あれ?
なんで?すごくない?
壊しても壊しても無くならない結界って、すごくない?
「え、あの……ダメ、かな?」
硝子ちゃんと夏油くんのふたりに引かれるって、ちょっと、けっこうショック。
「いや、ダメじゃない。すごいよ、」
「そうだね、すごいよ。よくこんな面倒な結界を作り出したものだ、大変だったろう」
しょぼーんと落ち込んだ気配を察したのか、慌てたように硝子ちゃんと夏油くんがすごいすごいと言い出した。
ありがとう硝子ちゃん、ありがとう夏油くん。
ただ夏油くんの褒め方って、アレだよね、ちょっと本音が刺さるよね。
うんでもまぁいいや。
「結界が仕上がるまでに、ちょっと時間かかるのが難だけどな。後は強度と時間短縮が課題ってところか」
「そうだねぇ。そこは、まぁ追々がんばるよ~」
さらりと瞬時にアドバイスしてくれる五条くんは、ほんと呪術に関しては真面目さん。
普段はあんなにフザけているのになぁ。
やっぱり地頭がとても良いのだと、あらためて思う。
「真面目か」
「優しいか」
あ、そこ突っ込んじゃうんだ二人とも。
わざとらしく揃ってニヤニヤするものだから、ああ、ほら…
「うるせーよ!べつにコイツの為ってわけじゃねーし、ちょっと多重結界に興味あるだけだし!」
簡単にがっつり五条くんがつれた。
これまたわかりやすく眉を顰めて、ムスッと機嫌を損ねている。
つんと尖らせた唇がぷるんとしていて可愛らしい。
え、まって、わたしより艶っとしてる。
リップとかなに使ってるのかなぁ?……気になる。