【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第5章 白石、谷垣との出会い
ユメコは自分のご飯を食べながらも、谷垣に食事をせているフチと交代し、谷垣に鍋を少しづつ食べさせる。
オソマがどうやら谷垣を気に入ったようで、谷垣の頭を優しく持ち上げてやり、食べやすい体制にしてくれているようだ。
ユメコは谷垣の分の食事をひとすくいし、匙に肉を乗せ、ふーふーと冷ましてから彼の口元へ運ぶ。
『はい、谷垣さん。口開けてくださいね、あーん』
谷垣はユメコが女だと知っているので少し恥ずかしがっているようでもあったが、オソマとフチにも見守られているので、若干険しい顔をしつつも少しづつ、ゆっくりと食べ進めていった。
白「ユメコちゃーん!おれにもあーんして…いででででで!!なにこれッ!?」
ユメコが谷垣にご飯を食べさせていると、白石もユメコにあーんして欲しいと言い出したところで、アシㇼパと杉元が前回コタンに帰った際に、連れ帰っていたという小熊が白石の頭に齧りついた。
小熊「ブブブブブブ」
杉「白石の頭はなんか甘いものが出てるのか?」
ア「オソマおいしい!」
杉「うんこじゃねぇっつーの」
___小熊に齧られ、血を流す怪我をした白石を心配する者などいなかった。
ア「鮭のルイペだ。これは寒い時期しか食べられない」
アシㇼパが凍った鮭の刺身のようなものをお皿に盛り、持ってきた。
杉「ルイペ?ん、冷たい」
白「半分凍っていて不思議な食感だ」
ルイペは口の中で噛む度にシャクシャクと音が鳴るが、口内の体温で蕩けて柔らかくなる不思議な食感だ。
杉「くちの中でとけてトロトロになる。うまいッ」
と相変わらず分かりやすく上手な食レポをする杉元の顔も、とろーんとしていて非常に可愛らしい。
ア「生の肉や魚を立木にぶら下げて凍らせたものをルイペと呼ぶ。ルイペはとけた(ル)食べ物(イペ)という意味なんだ」
白「なるほど。寒い土地で生まれた食べ方だから凍ってるのが基本なんだな」
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ルイペは冷凍することによって寄生虫を死滅させ、同時に生食でビタミンを摂取できる利点が上手く合わさった食べ方であった
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