第36章 女の秘密
すると、店員さんがジョディの分のコーヒーを持ってきてくれた。そのついでに私の空になったカップにもコーヒーを注ぎ足してもらう。
そうして、2人揃ってカップに口をつけて温かいコーヒーを啜った。
さて、どう話を切り出すものか。
「もう、さっきからなあに?何でそんなにぎこちないのよ。全く、らしくないわよ」
煮え切らない私の態度に痺れを切らしたジョディがそう言い放ち、私は肩を震わせた。
え、えーと…、とモゴモゴと歯切れが悪そうにしていると、ジョディは呆れたように大きな溜息を零す。
「はぁ……。あのねぇ、そうやって取り繕うとしなくてもちゃんと聞くし、聞かれた内容によってあなたを嫌いになることなんて絶対に無いから。私のへの思い、舐めないでよね」
ジョディは真っ直ぐに私を見てそう言い放った。
赤井さんといいジョディといい、甘やかしてもらってばかりだ。私は本当に、周りの人に恵まれているな。
ウジウジしていた自分が馬鹿らしくてありゃしない。
私は1度深呼吸をして、意を決して口を開いた。
「……A secret makes a woman woman. 」
この言葉を聞いたジョディは驚いたように目を見開いたが、またすぐに冷静な面持ちへと戻った。
「前にNYで、ジョディに何でビューローの捜査官になったのかを聞いたことがあったでしょう?その時、あなたはこう答えた。覚えてる?」
「ええ勿論。でも驚いた、まさかからその言葉を聞くことになるとは思わなかったわ。
……なるほど、だから秀は昨日あんなことを言ったのね」
ジョディはそう言いながら頬杖をついた。
「え?赤井さん、ジョディに何か言ったの?」
「ええ。昨日、が私と話をしたいらしいから予定を空けておいて欲しいって電話の後、もう一度電話がかかった来たのよ。私さえ良ければ、がどんな事を聞いてきても答えてやってくれってね」
そんなの初耳だ。
全く、あの人は過保護すぎるというかなんというか。まぁ、ありがたいことではあるが。