第29章 桜と追憶
そうして、残りの3つの財布を1つずつ確認していった。
まずは黒い財布。
これは中に免許証が入っていたので、直ぐに誰だか判明した。
「おぉ!このおっさん、さっき見たぞ!」
「ジョディ先生に話しかけてきた人です!」
「風邪引いてるってマスクしてたよ!」
そして2つ目は茶色い長財布。
さすがに免許証は入っていなかったが、蓋を開けて直ぐにプリクラが貼ってあった。どうやら、母親とその息子のようだ。
「あー!!そのお姉さんも知ってるよ!」
「鈴の鳴らし方を教えてもらいました!」
「まだその辺にいるんじゃねぇか?」
最後は赤いがま口財布。
この中には小吉のおみくじが入っていた。
「あのおじいさんのお財布なんじゃない?」
「良いくじは持って帰れって言ってたしな!」
「ええ。それにボク見ました!
僕たちの前で、あのおじいさんが赤い財布を出してくじを買っている所を!」
「あ!それあゆみも見たよ!」
「じぃさんに似合わねぇ派手な財布だと思ったんだよな」
すごいな、容疑者3人とも誰だか分かるのか。
この子達は、何かを引き付ける力を持ってるのかもしれない。
少年探偵団、恐るべし。
待てよ、黒い財布の持ち主ってさっきジョディに話しかけてた男性なんだよな。
……おいおい、あいつ大丈夫かよ。
「この3人の中の誰かが30センチぐらいの棒を所持していたら決まりたさなんだが」
「それを持ってなくても直ぐに分かると思うよ!
だって犯人はお返しとばかりに遺体のそばに黒い五円玉を3枚置いていってるもん!こんな独特な五円玉、そう簡単に用意できる物じゃないからさ」
「その3人の中で黒い五円玉を三枚持ってない人が犯人ってわけね!」
「そゆこと!」
そうして集められた容疑者3人。
コナンくんの言う通りに、真っ先に五円玉の確認が行われた。
……のだが、
「さ、3人とも持っているじゃあないか!」
見事に、3人とも懐に黒い五円玉を三枚所持していたのだ。