第23章 中継
「俺は、お前の背負ってるもんを全てとっぱらってやる事は難しい。だがな、半分くらい持ってやることは出来る。
1人で抱え込まず、もうちっと仲間を頼ってくれてもいいんだぜ?
いつまでも湿気た面してると、あいつらにぶん殴られちまうしな。
だから、笑おうぜ!それがあいつらの望みだ」
そうして、二カッと眩しいほどに笑う伊達。
私が笑うことが、あいつらの望み…。
「……うん…!」
そうして、不器用ながらも私は口角を上げて笑った。
数日ぶりの笑顔だった。
「やっぱ、その顔が1番だな!
よし、飯食いに行くぞ!!」
そう言って伊達はベンチから立ち上がる。
「は何が食いたい?何でも奢ってやるぞ!」
「…ラーメン食べたい」
「よっしゃ!じゃあラーメン食いに行こう!!」
そうして、私が仕事に戻った後も伊達は何度も私の元へ来て沢山話をしてくれた。時には酒を交えて。
伊達とのそうした日々を過ごしていくうちに、私は少しずつ前を向くことが出来たんだ。
今私がこうして警察官を続けられるのは、あの日伊達が連れ出してくれたからお陰。
感謝してもしきれないな、本当に_____
「さん?ぼーっとしてどうしました?」
「…ううん、ちょっと、昔を思い出してただけ」
心配そうに私の顔を覗く佐藤にそう答えた。
「もしかしたら高木くん、伊達さんのご両親に何か報告することでもあったとか」
「いや、伊達の両親も東京在住よ」
「そうですか。
う〜ん、となると、やっぱり女絡みか…」
由美の言葉に佐藤は顔をムスッとさせる。
「高木くん、交通部で人気あるんだよな〜〜」
追い討ちをかけるようににそう言う由美。
佐藤が更に険しい顔になった。
面白がってんな、由美。
「まあまあ、あの高木くんが佐藤をほっぽってそんな事絶対に無いって!
きっと、何か大切な用なんだよ。
それに、帰ってきたら何だったか言ってくれるんでしょ?」
「それはそうですけど……」
「なら、佐藤は高木くんを信じて待ってなきゃ!」
「……分かりました」
そうして、その日は解散となった。
あやべ、書類手に持ったままじゃん。
急いで戻らなきゃ。