第20章 月嗤歌 ED Side Ａ - II【別邸組 ＊♟】

｢主様、………主様｣

若草の匂いがして唇を奪われる。口腔内で暴れ回る舌は、常の優しさを欠いていた。



｢ん………んんんぅ、｣

深くふかく口付けられながら、花弁に指とは全く違う感触を感じる。

花口の狭間を往復するように擦り付けられ、思わず彼の名を呼ぶ。



｢テディ………ッ｣

ぬるぬると蜜を纏わせるように触れ合わせ、その唇が紡ぐ。



｢……いきますよ｣

のしかかってくるテディの身体付きは、

ハナマルやユーハンと比べると幾許か細身だが程よく筋肉質で、

その胸のなかは温かかった。



｢テディちゃん！｣



｢テディさん、待っ———｣

彼らの制止を無と看做し、一息に埋め込んだ。




｢っあ、………あああああぁっ……！｣

一気に押し入ってた象徴にシーツをつかんでその質量を享受する。

白い首筋を反らせて衝撃に耐えていると、すぐに腰が打ち付けられはじめた。



｢なんだよこれ、………こんなに狭いなんて｣

始めから、テディは烈しく揺さぶつてきた。

思いのままに内側を侵され、指を伸ばして彼の胸にすがる。



｢あなたの内(なか)って、こんなに気持ちよかったんですね｣

微笑いながら囁かれ、茹だる程身体が熱くなる。

強すぎる快楽から逃れたくて身を捩るけれど、より強く腰をつかんで封じられる。



｢ねぇ、………あなたも気持ちいいですか？｣

ゆさゆさと腰を揺すられ、ヴァリスは唇をひらく。

みずからを蹂躙する彼の胸にしがみつきながら、

けれどその唇から零れ落ちるのは甘やかな悲鳴ばかりで………。



｢ひあっっ！ そこ、ぐりぐり………いやぁ…… …！｣

どちゅどちゅと内奥を捏ねられその両眼が滲む。

目隠しをされているためにより生々しくその造形を感じ取ってしまう。



そんな自分を恥じてせめてもの抵抗と唇をかむも、伸びてきた指が頤に触れる。

駄目ですよ、とそっと唇をひらかせて、温もりが抑え込んできた。



｢嘘ばっかり。みつけましたよ、あなたの気持ちいいところ｣

ふふ。子供のような無邪気さを滲ませながら微笑う声が耳につく。

その音があまりに嬉しげで幸せそうで、スカーフの下で瞠目した。



指を伸ばすとすぐに絡め取られる。

ハナマルと同じ、古傷と剣だこだらけの指が、ヴァリスのか細い指に組み合わさった。