第11章 姉妹の如く【原作５年前】

椎奈「なるほどねぇ……蘭ちゃんは何だかんだで新一が好きなままなんだね」


蘭「えっ？！いやあの………はい！」


椎奈「ありがとうね。新一って結構おバカでしょ、呆れて盛大に喧嘩しても良いからね？」


蘭・園子「「えっ」」




私の言葉は相当意外だったんだろう。オレンジジュースを片手に目を見開いて驚き、私を見つめ返す二人に苦笑いになる




椎奈「新一は昔からホームズが大好きだし、姉の贔屓目なしに頭脳もあると思う。だけどあの子は推理が出来ても鈍感でしょう、何気ない大事なモノが見えていないの。それにあの子は刑事事件専門を希望してて、小五郎さんの分野とは関係ないよ。寧ろ私は小五郎さん尊敬してる」


蘭「そ、そうなの？」


椎奈「そうなんだよ、新一にとって謎解きは日常的で呼吸と同じ。あの子の探偵像には事件を解く以外のイメージが無いから、常に推理の機会を求めてるんだと思う。多分本物の事件に巻き込まれたら意気揚々と食いつきそうね、最近鬱陶しがられてるし……」


蘭「た、確かにそうかも……」


園子「意地悪じゃないのに？！推理ヲタクってそこまでなの？！」


椎奈「趣味に没頭すること自体は悪くないんだけどね、事件の悲惨さを理解出来てないのが危ないかな？それともう一点、小五郎さんの事だけど、」


蘭「あ！それが一番気になるの！あんなに駄目なお父さんに尊敬って……」




私が改めて話した新一の悪癖に二人は同意しかなかったみたいだ。そして蘭ちゃんにとっては、私が小五郎さんを推すのが本当に不思議らしい。きっと漫画やアニメばりに一見だらし無い態度なんだろうな、と思わず笑ってしまった




椎奈「あははっ！そう思っちゃうのも無理はないかもね。でもさ、小五郎さんは仮にも昔刑事だった人なんだよ？きちんと警察学校に行って、学んで、有名なるほど優秀な刑事さんだったって聞いてるし」


蘭「だけど、昔はそうでも今はあんなんだよ？お金遣いは荒いし、女性にだらしないし、推理力も新一に比べてそんなにない。依頼だってそんなに無いし、事件の依頼を解決した事なんて……」


園子「蘭……」




そうやって駄目な部分を挙げていった結果、一層落ち込んでしまった蘭ちゃんは泣きそうな顔で俯いた。確かに、女の人云々は弁解の余地もない