第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日
秀吉「あの時お前に、今みたいにいられたらって良いって言われて嬉しかった」
「え?」
秀吉「手遊びしながら可愛く笑う舞を見ていたら、可愛くて可愛くて仕方がなくなって、俺もずっとこのまま…恋仲みたいにいられたらって思ったんだ。
だからあのとき意地でも『妹分だ』って言いたくなかった。
俺はとっくに舞のことを妹じゃなく女として見てた」
「私だってとっくに秀吉さんのこと男性として見てたよ!
手遊びの時だって秀吉さんの手が触れる度にドキドキしてたんだから!
私達いつから無駄な兄妹関係を続けてたの!?バカみたい…」
私ばっかり秀吉さんのこと格好いいってドキドキしてるのかと思ってたのに、まさか秀吉さんもだったなんて信じられない。
秀吉「これからは可愛いって言ったら信じてくれるか?」
「あれって本気で言ってたの!?
ごめん、あまりにも頻繁に言うから挨拶がわりかと思ってたの」
秀吉さんがだいぶ前から私のことを女性として好きだったのなら、本心から『可愛い』と言っているのに私に軽く流されていたことになる。
少なくても1日3回は可愛いと言われていた。3×安土滞在日数となるととんでもない回数だ。
秀吉「本心だったが舞に本気にとられなくて安心していた。
俺がお前を好きだなんて知られたら関係が壊れると思ってたからな。
舞のまわりにはたくさん男が居るから、ズルい考えだったが兄としてでもお前の近くに居たかったんだ」
そんな切なそうな顔でなんてことを言うんだろう。
秀吉さんみたいな素敵な人が私の近くにいるために偽りの兄を演じていたなんて、そんな不毛なこと、どうやったら気づけたんだろうか。
「みんな友達みたいなものなのに気にしすぎだよ」
秀吉「そうじゃないから厄介なんだ。
だがこれからは舞は俺のものだって堂々と他の奴らを牽制できる。
城に帰ったら信長様に報告する」
気持ちを確かめるよう見つめられてトクンと胸が鳴った。