第7章 嫉妬
七海君が謝る事じゃないのに。私が謝るべき事なのに。
遠慮気味に私の頭を撫でる七海君に、今度は私から思い切り抱き付くと、ギュッと強く抱きしめた。
「…七海君、ごめん…」
「謝る必要なんてない。こっちが勘違いさせたんだから」
「七海君は悪くないよ!私が勝手に嫉妬したの…七海君の事が好きすぎて…」
七海君の胸へと顔を埋め、小さくそう呟けば。彼も私の背中へと腕を回し抱きしめてくれる。
「じゃあお互いさまだ。僕もあなたが好きすぎてさっき五条さんに嫉妬したから」
少し笑いながら言葉にした七海君の声色はとても優しくて。私の事を落ち着かせた。
「お互い好きすぎたって事だな」
少しだけ、照れたように言った七海君に私は「うん!」と笑顔を向けると、七海君も一緒になってニコリと微笑んでくれた。
「今日はもう、辞めとこうか」
私の背中に毛布を掛けてくれようとした七海君の手を止めて、彼の首元へと腕を回す。
「辞めないで…七海君」
私が雰囲気を壊したのに、こんな事を言うのもおかしいかもしれないけど…
けど、だけど……
「七海君と、一つになりたい…」
あんな事を聞いてしまったら余計にもっともっと。
七海君と、早く一つになりたい。
お互いとお互いの境目が分からなくなってしまうほど。
あなたと繋がり合いたい。