第15章 母校と同期
「もしかしてまだ、七海のこと忘れられない?」
ペンを走らせながら聞いてくる硝子の言葉に、しばらく考え込むようにしてから口を開いた。
「…忘れられないと言えばそうなのかも」
正直言って、海外に行ってからもずっと…ふとした時に七海君のことを思い出してしまう事が何度もあった。そしてそれは今も変わることはなくて…
彼との思い出を、思い出してしまうことがある。
もう8年も前のことなのに…8年も経つというのに…
「でもそれが、今でも恋愛感情なのかって聞かれたら…それはよく分からない…もしかしたらあの時の幸せにしがみついているだけなのかもしれないし、まだ七海君のことを好きなのかもしれない…分かんないんだ」
だから正直言って七海君に会うのが少し怖い。
彼に会ってしまったら…この気持ちがどうにかなってしまいそうで。
また彼を求めてしまいそうで……
「でも、8年も会ってないのにまだ忘れられてなかったら私…相当気持ち悪いよね!しつこすぎ!」
モヤモヤと考えてしまいそうな気持ちをかき消すようにして、ははっと笑えば「私は、そんな奴をもう一人知ってるけどな」と言って硝子もニヤリと笑う。
「そうなの?私の知ってる人?」
「さぁ?それはどうかな」
「えー気になる言い方しないでよー」そんな事を言っていると、携帯が鳴り補助監督から呼び出された私は任務へと向かった。