第2章 クローゼット
続いて私はベッドの下の収納ボックスから呪術廻戦14巻のコミックを取り出した。
「七海ー、なんで死んじゃったの。下々先生、生き返らせてぇ」
ナナミンの最期の姿を見ながら無茶な哀願をする。ナナミンは恐らく生き返ることはないだろう。死に際の悠仁への最後の言葉が胸の奥にまでズンと染みた。
これで生き返ったりしたらストーリーそのものが転覆する。炎上案件になりかねない。だけど推しが死ぬと、こう願ってしまうものだ。
やりきれない思いを胸に、スマホの左上の時刻をちらっと見ると、0時を過ぎていた。
「おっと、いけない、時間時間」
布団に潜り込んで、日の丸の様なアイコンをタップした。少年ジャンプ+だ。
呪術廻戦にハマった私は、コミック発売まで待ちきれず、毎週、本誌の呪術廻戦を追っている。
呪術廻戦の最新話を指でめくりながらごくりと唾を飲み込んだ。本誌では今、死滅回游が行われており、各コロニーで死闘が行われているのだ。
登場キャラがそれぞれに成長を見せ、頑張っている。ナナミンが「頼みましたよ」と託した悠仁は絶対この戦いで死んでほしくないキャラの一人だ。宿儺が中にいるし、主人公だから、そう簡単に逝くわけないんだけど。
恵は安定してかっこいい。最近目つきがキリっとして雰囲気変わったよね。津美紀ちゃんを助けるために必死な弟の姿がなんとも健気だ。
そして憂太ぁ! 映画、泣きました。「もう逃げないって決めたんだ」ってあのシーンが響いたって響いたって。
五条先生がいない今、あなたが頼りです。特級術師頑張って! 特級は死なないでしょって信じてる。