第8章 理由と意地
モブリットが
「‥‥‥フィン、ごめん……。」
床に投げられたスカーフを拾い上げ
フィンの首元に優しくかけた。
「兵長にはあとで落ち着いたら
俺から話をしてみるよ‥‥。」
たぶん数発殴られるだろうけど
と苦笑いを浮かべながらモブリットは頭をかく。
「‥‥ごめんなさい。」
フィンがぽつりと呟く。
「‥…謝ってばっかりだね、フィンは。」
モブリットが優しくフィンの
頭に手を置きぽんぽんと撫でる。
ノインの手と感触を重ね合わせる。
「‥‥‥…ノイン‥‥ッ。」
と泣きながらフィンは口元に
手を当てながら声を漏らす。
モブリットはきっと”ノイン”がフィンに
キスマークをつけた相手だと察する。
「・・・・・フィン、話したくなかったら
話さなくていいからね。
でも俺はフィンのことをもっと知りたいんだ。」
モブリットがフィンの前に膝まづく。
「フィンのこと・・・・教えてくれないか。」
と優しい瞳でフィンのことを覗き込む。