第62章 ❤︎ 射精管理 孤爪研磨
体の熱が冷めないうちに二人ベッドに並んで息を整える。吸い込む空気が冷たくて気持ちいい。
だけど甘い余韻に浸ることもない現実が少しだけ寂しい。賢者タイムって言葉は研磨のためにある言葉かもしれないって思ったのはいつだっただろうか。した後は甘い時間を過ごすわけでもなく、ただぼんやりと2人で横になっているか、テレビを観るか、スマホを開くかだから。
でも今日はこのままじゃ終われない。むくっと起き上がり飲みかけのワインを一気に流し込み、ベッドに横になったままの研磨を見下ろした。私の動きに視線を向ける。
「研磨、ずるいよ」
「何が?」
「してる時、研磨だけ平気そうな顔してるもん」
「そんなことないけど」
「だって全然喋らないし」
「こういう時に喋るのって苦手なだけ。いちかだって何も言わないじゃん」
「言えないだけだもん」
「どうして?」
「研磨が何も言わないのに、私だけって喋っててもおかしいし。フェアじゃないし」
「ごめん、意味分かんない」
「研磨がね、してる時にどう思ってるかとか分からないの」
「したいと思ったからしただけ」
「そうじゃなくて」
「じゃあ何?いちかはどうしたいの?」
「それは…」
「何か思ってるなら知りたい」
「あのね、変なお願いになっちゃうんだけど」
「何?」
「もう少し、続けてもいいかな?」
研磨は突然のことに驚いて目を見開いている。視線が重なっても負けじと見つめたまま数秒の時が流れる。
「このままで?」
「……うん」
女の方から誘うのってはしたない。でも私だって研磨の反応を見たいと思うのは当然でその権利だってあるはず。自分の目で見れば、きっと自信もつくし私ももう少し自分の殻を破れるかもしれない。