第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「……やり直すことももう出来ねぇの?」
堪えきれずに涙が溢れて伝って落ちる。胸の奥がずっと苦しくて口を開いてもうまく言葉もでない。
二人で過ごした日々はとても長くて、私にとって鉄朗から愛された日々は宝箱の奥にずっと閉まっておきたい思い出たちだ。
でももう後戻りをしないと決めた日から答えは決まっていた。
「……出来ない」
「……いちかの中で、俺はもう過去の男なのか?」
「…………ごめん」
「………そうかよ…」
ごめんなさい。
大好きだったのは嘘じゃなかった……。
でもそれすらもう伝えられない。覚悟を決めて別れたあの日以上に、今の方がずっと辛くて苦しい。何度もごめんなさいという言葉ばかりが浮かんでそして消えていく…。
ただ光太郎さんの手は私の手をしっかりと握ってくれていた。