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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


「そうですね。私は魔法も使えないし時間も戻せないですもんね。好きな人だから、大切な人だから、一君が辛い時は側にいたいんです」
「いいよ、別に…」
「でももし一君に彼女がいたら側にいてほしいって思わないんですか?」
「そりゃ……、もしいたら思うかもしれねぇけど」
「一君がもし私の恋人だったら何も言わないでただ気が済むまで側にいたいです。でもまだ恋人じゃないから、せめて10分だけ私にくれませんか?」
「なんだよそれ…」
「側にいたいです」
「10分で何ができんだよ」
「何もできないです。でも彼女、いや嫁にしてくれたら24時間365日側にいますよ?」
「また馬鹿みたいなこと言いやがって。今日はもうお前に突っ込む元気もねぇわ」
「らしくないですね」
「たまにはな」
「もちろんそんな一君も好きです」
「やめとけ、俺みたいな情けねぇ奴は」
「どうしてですか?努力が結果に結びつかなかったからですか?」
「それもある…。でも自分以外が選ばれてたら結果が違ってたんじゃねぇのかとか面倒臭いこと思ってた」
「ほんとにらしくないですね。中身だけ誰かと入れ替わったんですか?」
「んなわけあるかよ」
「あのコートに立った時間が全てじゃないです。それが全てだったらみんな仲良くあの世逝きです」
「あの世ってお前な」
「だって一君にはまだ次がある。次がなくてもその先に“次”を見つければいいだけ。死ぬ最後の瞬間まではずっと“次”があるんですよ。だから私は今はだめでもいつだって“次”に賭けてるんです。そんな考え方があったっていいでしょ?」

“死ぬ瞬間まで”ねぇ…。こいつの表現はいつも大袈裟すぎる。けどなんかどんよりと重かった気持ちが少し浮上したような気がした。
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