第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
自分でもよく分からないうちに勝手に始まったとも言えるルームシェア。夕食はみんな揃ってウーバー〇ーツだったから楽は出来たけどまだ一緒に暮らすことに実感はない。ここに及川も加わるなてため息しか出ないけどどうせ及川もここにいるとか言い出しそうだったから、念のために空き部屋を片付けした私、奉仕精神の塊じゃないかって思う。だから三年間、マネが務まったのかって今更納得だけど。
部屋が片付いたころにはもう深夜も3時を過ぎていて私はそのままお風呂へ。もうみんな寝てるよね…って油断してたのがそもそもの間違いなんだけど、風呂上がりはいつものようにバスタオルだけを巻いたままソファーへと寝転がった。なにかと騒がしかった時間を思えば静かなリビングはほっと一息つける時間でもある。
「こんなことになるなんてね」
松川、岩泉、花巻、そして及川…。仲良くしてた高校三年間は確かに楽しかった。でもそれは限りある時間だったからで、またこんな風に再会して一緒に生活を送ることになって、しかも松川とはしちゃったし他のみんなにもバレちゃったし、濃すぎる時間だ。ああ、でも…、松川と久しぶりにしたの、気持ちよかったな。余韻を楽しむ時間はなかったけど、今思い出しても声も視線もキスも全部、心地よかった…。もう好きって感情もないのに、不思議。熱い交わりの記憶が冷えていく体とは正反対に中心に熱を持ち始める。また抱かれたいなんて絶対思っちゃいけないのに。
「ああ、ダメだ…」
ぼんやりと白い壁を見つめても松川の表情が浮かんでため息すら熱い。
「いちか!」
「え?」
「何がダメなの?」
「うわっ!!え、何!?誰…っ!?」
「俺、花巻君」
振り返ればドアの前に立って私を見下ろす花巻の姿。
「ちょ、っと、なんでいるのよ、こんな時間に」
「だってずっと起きてたもん、俺。なんか物音してたから来ただけ。そしたらいいもん見れた」