第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
明らかに自分よりも強いだろう男を睨みつけ、躊躇なく立ち向かうその姿を目にしたとき
もっと知りてェ
そう思う気持ちが、受け入れるべきじゃないと思う気持ちを超えちまった。
おまけにだ。
"大丈夫、大丈夫だよ"
胸糞悪い夢にうなされるたび、底なし沼に引っ張られていきそうになる俺を引き上げてくれた声の主がその女だと気がついた時
こいつを側に置きてェ
そう思う気持ちが抑えられなくなっちまって、気がついたら旅についてこないかと誘っていた。
そうは言っても、俺の命の期限は決まっちまってて、たとえその女、柏木すずねと名乗るその女が、それを承知で俺のそばにいたいと言っていたとしても、それを受け入れるべきじゃないと思う気持ちを完全に拭い去ることが出来ずにいた。
そんな気持ちも、あいつが、俺以外の男に好意を抱かれる姿を目にしちまえば、自分のものにしたいと思う気持ちの方がいとも簡単に上回っちまった。
俺も、大概ダメな男だ。
そう思いながらも、その出来事以降、自分でも驚いちまうくらいあっという間にすずねのことをかわいいと、好きだと思うようになった。
馬鹿がつく位に真っ直ぐな愛情を向けられることが嬉しかった。
その気持ちは、すずねと共に過ごせば過ごすほどデカくなっちまって、それに反するように俺の中にある迷いをどんどんどんどん小さくして行った。
気がついた時には、すずねの心だけでなく、その柔らかな身体も自分のものにしたくなって、俺の中のにある雄としての本能が
"好きな女を孕ませろ"
そう俺に命令した。
だが俺は数年後にはこの世を去る身。万が一すずねが俺の子を身籠れば、その先に待っているのは一人で幼児を育てなきゃならねェ
"苦労"
が目に見える未来。だから懸命に、自分の雄としての本能に逆らった。
なのにだ。
そんな俺の気持ちなんざ知らねぇと言わんばかりに、すずねは俺の悩みも葛藤もぶっ壊すように
"…っ…馬鹿ぁ…こんなに…大好きなのに…っ…早く…私の全部…もらってよぉ…っ…"
そう言って泣いた。
その姿を愛おしいと思ったと同時に
抱きてェ
自分でも引くくらい欲情した。