第1章 事件1.新米刑事恋を知る
飛田の家に着き2人は玄関に入った
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って飛田は乾ききっていない足で廊下を歩き、途中にある扉を開いてタオルを持って来てくれた
「脱衣所使って構わないのでそちらで…それと、シャワーもよければ使ってください」
濁った水の中を泳いで汚れているだろうし、身体も冷えているだろうからと飛田は気遣ってくれる
「あ、でも飛田さんも同じなので、先にシャワー浴びられた方が…ほら、飛田さんのおうちだし…」
受け取ったタオルでまず先に足を拭きながら片足ずつ廊下に上がらせてもらった
すると飛田はスリッパをパンパンと叩き埃を落とすとカナの足元に置いてくれる
「すいません、普段人を招かないので何のおもてなしもできそうにないんです…なので、せめて先にシャワーを浴びて着替えてください」
自分は向こうで、と指差す先はきっとリビングで、着替え用の服はすぐに持って来てくれると言う
「なんだかすいません、お気遣い頂いて…」
「気にしないでください。困った時はお互い様なんで」
と飛田は言うが、そもそもレスキュー隊のお世話になればこんなことにならなかったのだから、我儘を聞いてもらってしまい申し訳ないなという気持ちもあった
だが、もうここまで来てしまったのだから飛田の好意に甘えようと、カナは脱衣所へと足を進めた
濡れた服を脱ぐのは床が濡れてしまいそうで脱衣所から風呂場へと入り、そこで脱いでいくことにした
外からはバタバタと急いでいる足音が聞こえ、飛田が急ぎ足で色々としてくれているんだと思った
「星宮さん!とりあえずの服、置いておきます!自分はコンビニにひとっ走り行ってくるので、ゆっくり身体温めていてください!」
「はい!ありがとうございます!!」
脱衣所の向こう側から叫んでくれたであろう声に返事をし、ビショビショなジャージを脱いだ
ギューッと絞れば川の水が出てきて浴室の床に滴り落ちていく
「こりゃ派手にビショビショだ…」
ため息混じりで1枚1枚を絞ってはたたみ、絞ってはたたみを繰り返していく
そして全て脱いで下着を絞っていた時にふと思った
「あ…下着どうしよう…」