第2章 桜の香
朝からイライラがおさまらなかった。
なんでなん、なんでなん、なんでなん!?
なんで一言も言わんと帰るん!?
寝てても起こしてくれたらいいやん!!
今朝起きると、カカシはもう部屋にはいなかった。
綺麗に畳まれた布団が、昨日のことが夢じゃなかったことを教えてくれた。
………もっと、一緒にいたかったのに。
モヤモヤした思いを抱えながら、乱雑に散らかった部屋を片付けていると、一枚の小さな紙がテーブルからヒラリと落ちた。
拾い上げると小さな文字で『泊めてくれてありがとう』と書かれていた。
ずるいわ。
こんなん置いとかれたら、これ以上怒れへんやん……。
わたしはしばらくその紙を眺めていたが、二つに折りたたむと小さな木箱にそっとしまった。