第1章 竹取物語
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非呪術師に伝わる、竹取物語。
日本最古の物語なんて言われてるけど、約千年前に実際にあった話だ。
竹から生まれた超絶美少女が、日本中の男を虜にして月に帰っちゃうやつ、読んだことある?そうそう!君ン家、すごい量の本あったもんね。え?まぁあらすじなんだし、いいじゃん適当で。
非呪術師には、「かぐや姫は5人の貴公子に求婚されたけど、無理難題を押し付けて全部断った」って伝わってるよね。そうそう、火鼠の裘とか、燕の子安貝とか。
あれ、本当は。
6人目の男がいたんだ。名を”両面宿儺”といってね。
そいつは、のちに呪いの王となった者だ。
かぐや姫は6人目の男に、どんな傷も隠してしまう月の石、”天の羽衣”を要求した。次の日、その男は何の変哲もない石を持ってきて、「これが天の羽衣だ」って言うんだ。それを証明するために、彼はかぐや姫の腕に傷をつけて見せた。従者たちは慌てたけど、彼は呪いが使えたからね。石に呪いをこめ、その傷を治して見せた。
かぐや姫は約束通り、天の羽衣を持ってきたその男と結婚し、山奥へと二人で隠れた。そこで彼らの行方はわからなくなる。
でも、かぐや姫を手に入れた宿儺は、のちに呪いの王として恐れられるほどの力をつけ、術師は総力をあげ挑んでも破れ続けた。あ、術師っていうのは、呪いを祓う人間のことで、僕も術師だよ。
実はこの指、宿儺のものなんだけど、うんうん、超気持ち悪いよね。1000年経った今でも壊れないクッソ強い呪いなんだ。嫌になっちゃうよ。
んで、ここからが本題。
かぐや姫と宿儺の間には子供がいたんだ。呪いの王と月のお姫様の子供さ。そして、彼らの子孫のうち、かぐや姫と同じ能力を持って生まれてくる子供がいる。八月の十五夜に生まれた子供だ。
そう!かぐや姫が月に帰った日。
彼女の下界での人生の、続きを描く運命の子。
そして君は500年ぶりに生まれた、
八月の十五夜の子。
かぐや姫の生まれ変わり。