第1章 誘 惑 の 媚 香 [煉獄杏寿郎]
屋敷へ着き部屋へ続く廊下を歩いていた時、はなは腕を引かれ再び横抱きにされた。
「杏寿郎様…?」
『すまない。待てん』
横抱きのまま口づけすると、杏寿郎には余裕がないようで廊下を歩きながらも口づけを止められない。
「んっ…はぁ…」
はなの色っぽい吐息が杏寿郎の五日分の欲を更に昂らせる
杏寿郎の部屋へ着くと、はなは畳に下ろされた。
杏寿郎は布団を敷くと、はなを畳から抱き上げ布団に寝かせた。はなが移動する時間さえも持てない。
そう言っている様だった。
そしてはなの上に覆い被さると唇を額や頬、唇に落とす。
「あっ…はぁん…んんっ…」
着物の合わせを緩めると、杏寿郎の手が止まった。
『はな…これは…』
着物の緩められた合わせから桃色のレースが見えた。
雛鶴から貰ったが、杏寿郎の目に触れることなくここまできてしまった。
「あの…久しぶりですし…杏寿郎様に喜んで頂きたくて…」
杏寿郎は思わず額に手を当て下を向いてしまった。
「変…でしたか…?」
『いや…今、俺はどうしようもなく、緩んだ顔をしてしまっている。』
「ふふふ、そのお顔見せて下さい」
『だめだ…』
はなはそんな杏寿郎が愛おしく、起き上がると力一杯抱きしめた。
『君からくるなど、今日は珍しいことばかりだが…?』
すると杏寿郎に抱きつき、胸に顔を埋めた
「杏寿郎様…一つお願いがあります…このまま聞いて下さい…」
『どうした?』
杏寿郎がそんなはなの頭をゆっくり撫でた。
「宇髄様から頂いた……お香…焚いて…下さい。」
はなの言葉に思わず自分から引き剥がし、顔を覗きたくなった。
しかし、そのまま聞いて欲しいと言う言葉通り、そのまま理由を聞いた。
『どうした…?あの香がなくとも…充分乱れたはなさんをみることができるが…』
「私も杏寿郎様に色々と…して差し上げたいです。いつも私ばかり良くして頂いて。だから今日もこれを…」
胸元をきゅっと握った。
この下着をつけたのも、我慢させてしまった杏寿郎に少しでもいつもと違う雰囲気を味わって欲しかったから。