第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
うーん…と唸る彼女。
どうやら諦めてくれないらしい。
『まだもう少し皆といたいな。』
《はぁ、分かったよ》
『ごめんね、終わったら連絡する。』
耳元からスマホを離した彼女がため息をひとつ。
『はあ…私の事なんて好きじゃないくせに…』
ガタッ
やば、なんか蹴っちゃった
『…っ角名くん?』
「あ…っごめ、ん。盗み聞きするつもり無かったんだけど…」
嘘です盗み聞きするつもりで着いてきました。
『ううん、えと…聞こえちゃってたよね』
「少し…?」
ごめんなさい全部聞いてました!
『じゃあ角名くんには話しちゃおうかなあ…なんて、ね』
「俺でよければ聞くよ。なんでも聞くから聞かせて?」
相談役でもなんでもいい。知りたい。彼女のことをもっと知りたい。それから俺のことも知ってもらって…好きになってもらわないと。
『じゃあ少し…話そうかな。』
「うん、あ…場所変える?」
『ううん…ここで平気。』
彼女が口を開こうとした時
「」
低く落ち着いた声が彼女の名前をよんだ。
『…っえ、』
「迎えに来た。帰るよ。」
『私まだ皆といたいって言ったよね…?』
「皆?角名くんとの間違いじゃなくて?なにこれ浮気?」
『ちょっと待ってよ角名くんは外の空気吸いに来ただけで…っ』
あぁこの人が。
正直会いたくなんてなかったけど相手を知るには会うのが1番早いよね。この人がちゃんの彼氏…これから俺に奪われるとも知らずに涼しい顔して登場とか笑える。てかすげえ睨まれてんだけど。
「彼氏が一緒にいたいって言ってんのになんで断るの?お前は俺の事好きじゃないの?」
「おい」
「なに」
「ちゃんのことお前って言うなよ」
彼女の表情がずっと強ばってるのはこいつのせい?俺の大事なちゃんをお前呼ばわりしやがって許さねえからな。
「角名くんさぁ、今と学校同じなんでしょ?そっちでもマネージャー頑張ってるみたいだし。俺の彼女がお世話になってます。」
「俺お前のこと知らないんだけど。知らない奴に名前呼ばれんのキツイから辞めてくんないかな。」
明らかな煽りにふつふつと腹が立ってくる。だいたい俺の方が背高いしかっこよくない!?ちゃんセンスない!目覚まして!