第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)

次の日もその次の日も自販機前で女子会は開催されているらしく。どうやらお風呂上がり涼むためにそのまま外で話しているんだとか。

「あ、黒尾くん今日も来た。」

「飲み物買いに来ただけですよ」

「あ、ねえ今話してたんだけどさ、黒尾くんはどんな子がタイプなの？」

身を乗り出して聞いてくる森然のマネちゃん。
女の子ってほんと恋バナ好きね。

「俺は、あー…好きになった子がタイプ…ですかね」

「うわーでたーっ1番つまんなーい！」

「ちゃんは？そういえばまだ聞いてなかった！」

『えっ』

ドクン、と心臓が大きく揺れた。
聞きたいような聞きたくないような。

『わた、しは…背の…高い人、かな。』

「男バレだいたい当てはまるじゃーんっ笑」

『あははっ、たしかに笑』

背の高い人…まあ一応当てはまる。

「うちの赤葦背高いしどー？？」

『そんなの赤葦くんが困るって…』

「絶対そんな事ないよ！それに何だか雰囲気とか2人お似合いだしさ〜黒尾くんもそう思わない？」

「んー、俺のが背高くないすか？笑」

この空気を壊さない最大限の抵抗。嘘でも赤葦とお似合いだなんて言いたくないから。

「あはは、確かに黒尾くんの方が背高いね笑」

「あれ、赤葦じゃんなにしてんの」

梟谷のマネちゃんの目線の先には赤葦。小銭を手に持っているのを見るに飲み物買いに来たんだろうけど。

「あ、飲み物を買いに。そちらは女子会ですか？1人大男混ざってますけど。」

「うんそんなとこ。黒尾くんも飲み物買いに来た流れでね。」

「あ、さんが髪おろしてるとこ初めて見ました。」

『そうだね。夏は暑くていつも結んでるからこういう時じゃないとおろさないかな〜』

「俺はどっちも好きです。」

『え？あ、ありがと。』

「なになに赤葦〜！あんたやっぱちゃん狙い？」

「似合っていると思ったのでつい。」

は驚いた表情で、でも少し照れてるみたいな…そんな顔。照れた顔はもちろん泣き顔だって全部俺だけのものだったのに。

そんな顔で赤葦のこと見ないで。

心臓いてえな。