第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
カズくんの腕の中で眠ってしまっていた私は真っ暗闇の中目を覚ました。隣にはスヤスヤとまだ夢の中にいるカズくん。
『今何時だろ…』
窓辺に置いてある時計をみると
時刻は20:00を示していた。
『…結構寝ちゃってたな。』
「あれ……?」
『カズくん起きたの?
もう夜になっちゃったね。
そろそろ帰らないと…』
「帰んないでいいじゃん。
明日は一緒に学校行こーぜ。」
『でも着替えが…』
「制服はそのまんまだろ?
下着だけコンビニにでも買いに行きゃいい」
『でも朝はいつも圭介くんがお迎えに来るの』
「そんなん場地に言えばいいだろ
ま、いーや俺が言っとくわ」
『あ、うん。ありがとカズくん』
目の前で圭介くんに電話をかけるカズくん。すぐに出てくれたようでひと言ふた言会話したあと通話は終わった。
『圭介くんなんだって?』
「分かったってさー。
だから明日の行きは俺と2人な」
『うん。じゃあ…下着買いに行きたいです。』
「はいはい」
『あ、あと!パジャマかしてほしい…!』
だってすごく急なお泊まりで何も持っていないもの。
「あーちょっと待ってろ」
『うんっ』
「はい、これ着たらコンビニ行くぞ」
『ありがとカズくん』
カズくんから手渡されたスウェットを1度置いて、床に落ちた下着を拾う。
「え、なんで着ようとしてんの」
『…え?下着…だよ?』
「ダメ、それ置いて。
そのまま俺のスウェット着ろよ」
『え、でも…』
「じゃあスウェット貸さない。
下着でコンビニ行くか?」
『それはやだ…っ』
「じゃ早くスウェット着ろよ」
『わかっ…た。』
下着を身につけずに服を着るのはなんだか落ち着かない。それにサイズが大きくて紐をしっかり縛らないとズボンが下がってくる。
「行くぞー」
『う、ん。』
「大丈夫、誰にもバレねぇって」
『そ…うかもだけどさぁ。』
「早く行こうぜ」
カズくんを追いかけて私も部屋を出たところでリビングから私にかかる声。
「やっぱりちゃん来てたのね!」
『あ、カズくんママ!』
「うちの子が女の子家にあげることないからちゃんかなーと思ってたのよ」
『お邪魔してましたっ』
「泊まってくでしょ?
ゆっくりしてってね」
『うん、ありがとうっ』