第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
あっという間の1日。
放課後を告げるチャイムがなる。
「〜」
『はーい』
「行ってくるから適当にどっかで待ってて」
『分かった』
「ん、悪ぃな」
『ううん』
昼休みに呼び出されていたカズくんはダルそうに頭をポリポリとかきながら教室を出ていく。
なんとなく気になった私はカズくんのあとをつけてこっそり覗くことにした。ごめんなさい、と思いつつ好奇心には勝てない。
校舎裏に呼び出されたらしいカズくんを待っていたのは、昼休みにいた女の子…がいない?別の女の子が5人くらいいる。
「で、なに?
俺先約あっから早くしてくれる?」
聞こえてきたカズくんの声は機嫌が悪い。
「そういう態度どうなの!?
私ってただの遊び相手?」
声を震わせながらカズくんを睨んでいる。
「俺めんどくさいヤツ嫌いなんだよね。
何が言いたいのかハッキリ言って」
「…最初から付き合う気無かったの?」
「付き合うなんて俺言ったか?」
「言って…ないけど。抱かれたら期待しちゃうじゃない。もしかしたら次があるかもって。その次もって…。」
「あのさ、俺から誘ったことなんか1回もねぇしお前たちが1回でいいからって頼んできたの忘れてねえ?1回だけって言うからいいよっつってんの。後腐れねぇかなと思って。わかる?」
「それなら…っなんであんな抱き方するの。まるで大切にしてくれてるみたいな…あんなの期待しない方がおかしい。」
幼馴染の性事情ほど聞いて気まずいものはない。カズくんて優しいんだあなんて別に知らなくていい情報をゲットしてしまった。
「私はすごく激しく抱いてくれたよ?
たくさん求めてくれてるみたいで嬉しかった。ねぇもう1回抱いてよ羽宮くん。」
「抱き方どーこーとかそんなん俺の気分だろ。彼女でもねぇ女何回も抱かねぇよ。」
「じゃあ彼女にっ「無理。」」
好きな人にあんなスッパリ断られたら私なら心折れる…。カズくん目が全然笑ってないし心底面倒くさそう。幼馴染ながら怖いと感じる。
「もういい?人待たせてるから」
「別の女の子?」
昼休みと同じ質問をされている。
「だったらなに?」
「…っだれ?」
「言わねぇよ」
「どうして!いつもは教えてくれるじゃん!」
「今日はそういうんじゃねんだよ」
「なんなの!!」